中高一貫(六年制普通科)

研究成果発表

平成28年度

第10回全日本高校模擬国連大会

2016年11月12日(土)~13日(日)、東京の国連大学において、第10回全日本高校模擬国連大会が開催されました。模擬国連とは、国連会議のシミュレーションを通じて、現代の世界におけるさまざまな課題について学ぶための教育プログラムです。本大会には、135校(203チーム)の応募の中から86チームが選抜され、本校からは2チームが出場しました。この結果、今年で5年連続、9回目の出場となりました。

議 題:サイバー空間(Developments in the field of information and telecommunications in the context of international security)
高水Aチーム担当国:ドイツ 六年制普通科1年 濵田メイ 村上玲維
高水Bチーム担当国:ポルトガル 六年制普通科2年 松永希子 小山亜利紗(2年連続出場)
引率教諭:池田辰之

My precious experience六年制普通科1年 濵田メイ

 私たち模擬国連出場者は夏から校内選考や書類審査、情報収集など4か月間近く準備してきた。今回の議題は「サイバー空間」というかなり難しい内容だったこともあり、調べるのもすごく大変で何回も辛いと感じることがあった。しかし大会が終わった今、後悔など一つもなく、むしろやって良かったと心から思える。

 今回模擬国連を通して得たものは文章力や交渉力はもとより、自分の気づかぬところで沢山の成長があった。この大会は全国のハイレベルの高校生が集まり2日間のカンファレンスをする。最初はそんな中に自分は入っていけるのかと不安が大きかったが、今ではその人たちと同じレベルになりたい、と日々努力しようと思っている。

 この大会は一見解決の難しい国際問題に取り組み、ピリピリした空気を感じに行くようにも見えるが、それがすべてではない。「仲間」という宝物を得ることができる貴重な機会でもあるのだ。もちろん会議中の議場内の空気は緊張そのものであるが、一緒に夕食を食べに行ったり地元の話をしたりととても楽しくそれらも含めて充実した2日間になる。

 更にここでは「自信」と「課題」を見つけることができる。膨大な数の情報を処理し、課題を成し遂げることは「やりきった」という自分の大きな自信になる。そして準備や会議をする中で自分に足りないものが浮き彫りになるため、自分には何が必要か、これから何をすべきなのかがはっきりとわかる。だからこの経験をこれからの社会を生き抜いていくために最大限活かしていきたい。

 このように模擬国連に出場すると忍耐力や情報処理などの様々な能力や仲間、課題、そして達成感を得ることができる。少し過剰表現に感じられるかもしれないが、模擬国連はものの見方や考え方、人生をも変えると言っても過言ではないのだと思う。

 今回の挑戦は決して私一人の努力だけではない。ペアはもちろんのこと、応援・サポートしてくれた家族、友達、先輩そして池田先生に心から感謝したいと思う。

 言葉では表現し難いこの何とも言えない達成感を是非とも後輩にも味わってほしい。

足りないもの六年制普通科1年 村上玲維

 全国の高校生と出会えたことは貴重な経験でありとても良い刺激になったが、「思ったよりも普通だ」という印象を持っていた。英語力を除いては、想像していた程能力の差は感じず、最優秀賞を受賞したペアとさえも会議中は対等に話ができたように思う。しかし、自分達のペアが選ばれなかったということは、“何か”が足りなかったということだ。それは単純に知識や経験、交渉力、積極性かもしれないし、あるいは、日頃の生活態度が関係しているのかもしれない。“何か”の答えを見つけ出し全国のレベルの高い高校生と肩を並べるためにもこれからの生活を有意義なものにしていきたい。

二度目だったからこその気持ち六年制普通科2年 松永希子

 高校2年の10月、同じペアでの二度目の出場が決まりました。私たちは本気でした。優秀賞を獲得し、本気でニューヨーク大会に行きたいと考えていたのです。それから模擬国連漬けの日々がスタートしました。暇があれば、リサーチや英文の読み込みをしたり、互いの情報を共有して作戦を練ったりしていました。学校の休み時間も家に帰ってからもずっとです。忘れられないほど苦しかったこともありましたが、それでも今思えばとても楽しい時間でした。

 たくさんの準備を重ね、迎えた本番前日。私は急に怖くなりました。目標を高く掲げて、多くの人から応援してもらって、その期待に応えたいという思いの裏で、私は本当に頭に描いているように行動できるのか、グループを作りまとめることができるのか、ペアの足を引っ張るんじゃないか、など嫌な考えばかりが私の頭の中を支配していました。そんな不安でいっぱいだった私を支えてくれたのは、ペアの小山さんと出場経験のある先輩方でした。「できてもできなくても、もう明日しかないんだからやるしかないでしょ」「一人じゃないよ。ペアがついてるんだから」という先輩の言葉は本当に心に響きました。何もしないまま後悔だけはしたくない、ペアを信じて二人で上を目指したい、とその時改めて感じました。

 本番では、一度目の時よりも中心になって行動することができました。反省する部分もたくさんあるし、後悔していることもあります。でも、私たちはこの模擬国連を通して確実に成長したし、前回よりもさらに大きな刺激を受けました。結果的にニューヨークへ行けなかったことは本当に悔しかったです。もう少し考えて動けば良かった、もう少し頑張れた、と思うことがあるので、なおさら悔しかったです。帰りの新幹線では二人で泣きました。次の日もまた、私たちは教室で泣いていました。三度目があるのならもう一度チャレンジしたい、来年出られないのが悔しい、と話していました。それだけ本気でした。しかし、強い気持ちを持って、長い間全力投球してきたそれまでの過程は、私の財産です。その期間は何にも変えることができません。必ず未来の自分に繋がっていると信じています。

 そして、模擬国連で出会った他校の仲間たちは、私の宝物です。普段の学校生活の中ではしないようなハイレベルな会話もたくさんしたし、たわいのない高校生の会話もしました。また、大会の時に私が上手くできなかったことがあり、みんなに迷惑をかけてしまった時には、励ましてくれて、サポートしてくれました。かけがえのない関係を築くことができたと思います。彼らとはこれからも互いに高め合って、共に向上していきたいです。

 高校2年間の約半分を占めていた2回の模擬国連は、私に多くのものを与えてくれました。自分の意見を持っていても、それを口に出すことが得意ではなかった私ですが、今では日本語だけでなく英語でも自分の意思を正確に伝え、さらにそこから様々な価値観を持った人々と対話できるようになりたいと考えるようになりました。積極性や強い心、大切な仲間を与えてくれた模擬国連に出場して良かったと心から思っています。

 このように、自分の中の何かを変えてくれるような経験を一人でも多くの人にしてもらいたいと、私は思っています。

一年ぶりの大舞台六年制普通科2年 小山亜利紗

 ありがたいことに、今回2年連続で全日本模擬国連大会に、しかも同じペアで出場することが出来ました。短い準備期間の中で、私たちは学校の休憩時間のみならず、寝る間を削って、膨大な資料や情報と何時間も向き合いました。3時、4時まで眠らずに作業するときは、気付けば2人とも床の上で寝ていたこともあります。今回のテーマは「サイバー空間」、日常的に利用しているにも関わらず、知らないことばかりでしたし、日本語の資料はそれほど多く無いために、英語のサイトを一から翻訳してサイバー空間の現状を調べたりしました。私たちのペアはいつも時間に迫られていて、池田先生に遅い時間まで添削を付き合ってもらうこともしばしばありました。その中でも2人で担当を分けたりして、効率良く調べられたことは良かったと思います。

 今回私たち2人はポルトガル大使として参加しました。「サイバー空間」の問題においては、割と規制もなく、マイナーな国ではありましたが、だからこそ大会の議場では動きやすかったのではないかと思います。議場での動きは昨年の経験を十分に活かせたのではないかと思います。1日目の夜も遅くまで2日目の準備をしていたことを覚えています。

 何よりも、今年も模擬国連を通して、新しい仲間が出来たことが本当に嬉しかったです。1週間にずっと一緒にいたと感じられるほど、濃い2日間を共に走ってくれました。昨年、模擬国連に参加した友達とも未だに連絡を取り合っていて、大会前にはSNSで声を掛けてくれる子もいました。

 昨年に引き続き、模擬国連大会はいつも私の弱い部分を表にし、再認識させてくれます。知らない自分を見つけることで、嬉しいこともあれば、勿論愕然とすることもあります。しかし、その一つ一つが自分の成長に繋がっていると胸を張って言えます。模擬国連大会に対する興味関心は人其々ですが、模擬国連は、価値観、時には人生が大きく変わる瞬間を与えてくれるものだと思います。

「第10回全日本高校模擬国連大会」選抜出場 「第10回全日本高校模擬国連大会」選抜出場 「第10回全日本高校模擬国連大会」選抜出場 「第10回全日本高校模擬国連大会」選抜出場

第23回「高校生による国際交流体験感想文コンテスト」

ご報告が大変遅くなりましたが、第23回「高校生による国際交流体験感想文コンテスト」において、六年制普通科2年2組 永冨由依さんが、下記の賞に入り、2016年11月13日(日)に表彰式がありました。

賞名 特賞(山口県知事賞)

「カンボジアで感じた日常のありがたさ」と題した永冨さんの作品を掲載いたしますので、ご一読下さい。

カンボジアで感じた日常のありがたさ高水高校2年 永冨 由依

 かつての日本には、寺子屋という名の学校があった。そこでは「読み・書き・そろばん」という三つの基本知識を中心に教育を行ったと言われている。我々日本人は、ほとんどの人が字を読むこと、書くことができる。それは、日本政府がとり決めた、義務教育を受けることができるからである。毎日、当たり前のように学校へ行き、授業を受ける。ごく普通のことだと思っていた。カンボジアに行くまでは・・・。

 高校二年生の夏休み、初めてカンボジアに行った。海外に行くのは四度目だったが、今回はいつもと違う。それは発展途上国だからだ。まったく想像がつかず、テレビやネットの情報のみを頼りにしていたため、あまりいい印象がなかった。いざ着いた時は自分のイメージとのギャップがすごく大きかった。なぜなら、私が目を向けていたのは農村部、いわゆる田舎だったからだ。都市部では、上下水道ともに整備され、子供達は学校に通い、達者にクメール語や英語を話す。病院なども整備してあった。ほとんどが、外国からの支援によるものだが、整っており感激した。日本とそこまで変わらないのではないかとさえ思った。しかし、そう思ったのもつかの間、田舎に行くにつれて変わっていったのだった、

 貧困にはサイクルがある。教育を受けられないため、読み書き計算ができないまま育ってしまい、仕事に就けず、収入が少なくなる。そのサイクルが本人だけでなく、子どもへと受けつがれていってしまう。その悪循環を唯一断ち切ることができるのが「教育」だ。

 私たちは、現在ユネスコが支援している田舎にある寺子屋を見学した。そこは復学支援クラスといわれる、一度学校を辞めてしまった子や、入学できなかった子どもたちを対象としているクラスで、さまざまな年齢の子がいた。初め見た時、少し小柄だなと思った。家庭が貧しいため、あまり栄養が取れていないようだ。しかし、私が受けた印象はそれだけではなかった。それは、意欲・好奇心だ。決して日本の子どもたちにない訳ではないのだが、その強さを感じた。先生の話を食い入るように聞き、積極的に手を上げて発表する。とても良い光景だった。電気もエアコンもない教室で頑張っている彼らを見て自分の普段の生活を振り返り、少し申し訳なく思った。それは大人を対象とした夜間に行われる識字教室でも同じだった。日中は、妻・母として働き、夜間は生徒となる。成人女性の識字率の低さはとても問題となっている。この事実の背景には約45年前の6年間にわたる政権がある。ポル・ポト政権による大量虐殺だ。医師や教師などの知識人がたくさん殺された。そのせいでカンボジアには教育者が少ない。教育の場も少ない。それは現在においても、同じである。インドや日本・ユネスコ協会などさまざまな国・NPO法人の支援で今は成り立っているが、将来支援が終わってから、本当にちゃんと続けていくことができるのだろうか。終わってしましまうことは無いだろうか。貧困のサイクルを止める唯一の方法であるが故に私はすごく心配になった。その対策として、教育者の養成に力を入れるべきだと思う。寺子屋に通っている子どもの一人の女の子の家に訪問させてもらう機会があった。家は貧しく、お風呂もトイレも付いていない。家計を助けるために、家に帰るとすぐ、屋根作りの手伝いをしていた。木造の高床式の家で夏は暑く冬は寒い。そんな彼女の将来の夢は、学校の先生だそうだ。貧しいため、一度学校を辞めてしまったものの、復学支援クラスでもう一度勉強を始めた。お金の問題上、たとえ学校に通うことが難しくなったとしても、きっと彼女は諦めないだろう。そしてカンボジアに教育を広めてくれるだろう。

私はカンボジアに行って、日常のことの対する考え方が変わった。カンボジアは、都市と農村部での貧富の差が大きい。都会の日常と田舎の日常は国が異なるくらい違う。水道水が飲める事、トイレで水や紙が流せる事、学校に通える事、道路が整備されている事、全て田舎では当たり前ではなかった。それは、日本を出て初めてわかった事だ。だから今、日本にいる人たちのこの現状を知ってもらいた。一人でも多くの人が貧困から抜け出せるよう、教育を受けられるようにするために私にできる事は、たくさんの人に伝えていく事と、募金活動くらいしかない。一緒にカンボジアに行った10人で日本各地を周り、広めていこうと思う。そして10年後、どのように発展を遂げ、成長したのかを、この目で確かめに行きたい。

第23回「高校生による国際交流体験感想文コンテスト」について 第23回「高校生による国際交流体験感想文コンテスト」について

JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト2016

標記コンテストにおいて、六年制普通科1年1組中島優花さんが、下記の賞に入りました。

賞名  独立行政法人国際協力機構 中国国際センター 所長賞

このコンテストには、日本国内はもとより海外在住の生徒から、高校生が30,087作品・中学生が50,727作品、総数80,814作品もの応募がありました。 「紛争をなくすためには」と題した中島さんの作品を掲載しますので、ご一読下さい。

紛争をなくすためには六年制普通科1年 中島 優花

私にはなぜ紛争が起こるのかわかりません。紛争が起こる原因は、国際関係・宗教・経済事情・文化・民族等さまざまなものがあげられると思いますが私にはただ意地を張っているとしか思えせん。

私は母が日本人ではないという事もありこれまでに日本国内だけにとどまらずアフリカ・ヨーロッパ等様々な人種、国籍を持つ人に会いました。その中にはお金に不自由の無い人、日々の生活に精いっぱいでゆとりのない人など様々な人がいました。それでも皆現実をきちんと受け止め、決して良いと言える生活ではなくても楽しそうに生活していました。だからたとえどんな人でも楽しく生きれると思います。それを思い知らされたのは、私が小学校四年生の頃です。小学校四年生といえば2011年です。東日本大震災があった年です。

その頃私は、メキシコの日本メキシコ学院の日本語コースに通っていました。そこにはメキシコ人もいましたが、ほとんどが親の海外出張によってきている人でした。私がこの学校に通ったのはたったの三カ月でした。ですがこの三カ月で私は多くのことを学びました。小学校四年生にしてすでに三か国語を習得している子からは語学の必要性、これまで多くの国で生活してきた子からは、相手のことをきちんと受け止め、困っているときは助け、分からない時はもう一度聞き分かるようにするなど、普段の日本の生活では学べないようなことも多く学びました。ですが私が学んだことはこれだけではありません。さっきも言ったようにこの頃東日本大震災がありました。私はどこで聞いたのかは覚えていませんが日本で地震があり、津波にのみ込まれたと聞きました。私はそれを聞いた時日本の同級生は無事なのか心配でした。だから私は家の近くなるインターネットカフェのようなお店に行き、日本の担任の先生にメールを打ちました。もちろん海外で文字を打ったら日本語に変換される訳はないのでメキシコに来る前に習ったばかりであったローマ字を使って話していました。しばらくして先生から返信が来ていました。それを読んで私はホッとしました。そこには山口では津波はなく地震も少し揺れた程度だと書かれていました。そして津波があったのは東北地方で被害が最も大きかったとも知りました。日本に住んでいる人ならば誰もが知っていることだと思います。しかし日本から遠く離れた地では日本全体が大地震に襲われ津波が起こったかのようにテレビなどのニュースでは放送されていました。

この体験から私は自分が本当だと思っていることは全ての場所において本当であるとは限らないという事を知りました。また、周囲の情報にとらわれることなく自分で知ろうとすることも必要だという事も知りました。これは紛争をなくすためにも必要なことだと思います。一人一人が小さな枠組みにとらわれなくなり自分の目で知りたいと思えるようになれば紛争をなくすことは出来ると思います。

日本国内だけでも毎日のようにどこかでケンカや反対運動が起こっています。それは学校でも家でも同じことだと思います。期間は長いものも短いものもありますがいずれにしてもいつか終わっています。なぜ終わるのか、それはどちらか一方もしくは両方が相手の意見を尊重し自分をコントロールしているからだと私は思います。このように同じ枠組みの中で共生している人間同士なので、一方的に意見をぶつける事なく生活することが可能になれば、地球という世界はより良い方向に進んでいくと思います。